- 比婆郷土料理研究会
- 2015.12.13
比婆郷土料理研究会『比婆地方のおせち料理』
2015年12月12日、「郷土のおせち料理」をテーマに、ひばん婆お富こと比婆郷土料理研究家の小林富子さんを講師に、比婆郷土料理研究会を開催しました。
久しぶりの比婆郷土料理研究会、おせち料理を作るだけでなく、おせち料理に関する風習や言い伝えも教わりました。
そもそもおせち料理とは、5つの節会(せちえ)につくるお供え物のことを呼んでいたそうなのです。
その「5つの節会」とは・・・・
1月1日の元日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日の5節句のこと。
神々に供える食べ物、膳や椀や皿が普段のものとは別にあって、飯、煮物、肴を少しずつ盛って、それを「セチの膳」としていたようです。
昭和30年ごろまでの比婆地方のおせち料理は、手作りが当たり前で、主に土地の産物を使っていました。
その中身は・・・?
煮豆・・・黒豆
煮しめ・・里いも、大根、にんじん、こんにゃく、ごぼう、れんこんをしょうゆ味で煮しめに。さらに昆布と、かまぼこを加えていたそうです。
魚・貝・・ブリ(出世魚のブリは欠かせないものだったようです。)、はまぐり(お雑煮)、かずのこ。比婆地方の一部の地域では、塩ものマンサク、めざし、干しだらも・・。
すし・・・巻きずし、ばらずし
酢の物・・大根、にんじん、かぶ(白・紅)、たたきごぼう
和え物・・こんにゃくの白和え
といったものだったそうです。
お正月にまつわる比婆地方の言い伝えも教わりました。
「元旦にお風呂に入ると福を洗い落とす。掃除をすると、福を掃き出す。」
「さんがの内(1月1日~3日)は包丁を使うな、餅を焼くな。」
「さんがの内に、くどの下で火を吹くと、田植えに大風が吹く。」
他にも、
1月3日には、「福もらい」といって朝暗いうちに、箕へお米や大豆を入れた一斗升、鏡餅、お神酒、灯明をのせて縁側に置き、外から福をもらうよう祈っていた。
などなど。
今では、聞くことがない言い伝えも、昔はいろいろとあったんですね。
そして、いよいよおせち料理づくり!
今回教わったのは、小林富子さんオリジナルレシピを含む、6品のおせち料理と1月7日に食べる「七草粥」。
・根菜の肉巻き南蛮
・手綱こんにゃく
・ごぼうと干椎茸の煮物
・フルーツきんとん
・ワニと黒豆なかよしおこうじ
・ワニの広島菜巻き
・七草粥
比婆地方のごちそうといえば、ワニ!
ワニを使ったおせちにぴったりのレシピも教わりました。
「ワニと黒豆のなかよしおこうじ」は、作り方も簡単で、塩麹にワニがよく合います。
塩こうじに一晩漬け込み、サイコロ状に切ったワニと甘く煮た黒豆を混ぜ合わせるだけ!
ワニの広島菜巻きは、昨年の比婆郷土料理研究会でも教わったレシピで、広島菜でワニと紅ショウガをくるっと巻いて輪切りにして盛り付けます。彩りもきれいで、これもワニと広島菜がよく合います。
1月7日に食べる七草粥は、名前のとおり7種類の野草をいれます。ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、せり、なずなの7種類を洗って刻み、ご飯と水と塩をいれて弱火でおかゆ状に煮たものに加えます。
郷土に伝わるおせち料理をまずよく知って、それからどんどん自分らしい郷土のおせち料理を作っていけば、さらに料理が楽しくなりますね。
今年の年末は、おせちを買うのではなく、郷土に伝わる手作りのおせち料理をせめて一品だけでも作って、お正月に味わうところから始めようと思ったのでした。
by RIE KIKKAWA